「おてもと」の名前の由来を知っていますか?
元来「手元(てもと)」とは、「手の届く近いあたり・道具の手で握る部分・手の動かし方」などを意味しています。つまり割り箸の「おてもと」は、「お客様の“お手元”にある箸」ということ。
もともと懐石料理の預鉢や八寸といった日本料理の盛り鉢料理には、みんなで取り合ってもよいよう「取り箸」が添えられており、それに対して各自で使う箸を「手もと箸」と呼びました。
これを丁寧に言い表した言葉が「おてもと」です。
お客様一人だけのために用意され、その手のすぐ近くに置かれている箸のことを指すのです。
「お手元に箸がございます。どうぞお使いくださいませ」という、日本ならではの奥ゆかしい気遣いを表したものでした。
高級店ならではのおもてなしの心が感じられます。
「割り箸」の名前の由来と用途
「割り箸」の由来は、その製作方法。
昔は木の目に沿ってナタで割って作られていたそうで、「木や竹を割って作る箸」という意味から名づけられました。
「真ん中で割って使う箸」になったのは後の世のことだというから意外ですね。
「おてもと」の漢字の書き方には2種類ある
この「おてもと」、漢字で書く場合は「お手元」のほか、もうひとつの書き方があるそうです。
それというのは「御手茂登」。まるで当て字のようですが、これにはきちんとした理由があります。
実は“御・手”は漢字で、茂・登は“変体仮名”なのです。変体仮名というのは、現在使われている普通の平仮名の形とは違う字体の仮名のこと。
ひらがなの字体のうち、一音一字に統一された1900年(明治33年)の小学校令施行規則改正以降の学校教育では用いられていない平仮名の総称です。
そう言われてもピンとこないかもしれませんが、たとえば、「い」を「伊」、「う」を「宇」の崩し字で表していた時代のひらがなのことを指しており、「御手もと」の「もと」の部分に、昔の文字を使って表記しているということのようです。ですから「お手元」、「御手茂登」の両方が正しく、同じ意味を表しているのです。
みやこの種類豊富な「おてもと」
「おてもと」の名前の由来と、高級店で使われやすい理由が腑に落ちたのではないでしょうか。
みやこでもたくさんの「おてもと」を取り扱っています。
また、「天削箸」は、見た目の美しさから、お客様へお料理を提供する際や高級料亭など、ワンランク上のおもてなしを演出したい時におすすめのお箸です。
「利久箸」は、千利休が考案したとされる「卵中箸」を元に、明治時代に改良されて作られたことからこの名がつきました。
卵中箸との違いは“割って使う”という点です。
「卵中箸」は1本ずつ分かれており、千利休が来客用に使いやすく考案した箸だといわれています。
1本ずつ分かれた1組の箸に帯が巻いてあるため、割る必要がありません。
現在では、お祝いの席などのおもてなし用として用いられることが多いです。
また、高級感を持ちながらリーズナブルであり直線的な繊維質なので強度が高く、まっすぐに割れやすい材質の「エゾ松」。
折れにくい材質の特徴から縁起が良いとされ、祝の箸などにも使われている「柳」。
きめが細かく強度にも優れ、高級感のある「杉」。
しなやかで強度が高く、手触り、口触りの優しい、高級感のある材質の「檜」と、選べる素材もさまざまあります。
長さの目安は、通常サイズの約21cmと、長めのサイズの約24cm・27cm。
多彩な組み合わせが可能なので、ぜひあなたのお店だけのおもてなしが伝わる1本を見つけてくださいね。