災害時に的確な情報収集ができないと被害が拡大する
企業に大きな被害をもたらす自然災害。被害を可能な限り最小限に抑えるためには、初動対応として、精度の高い情報収集が重要です。しかし、混乱した状況下においては、限られたリソースを駆使して情報を得るのは非常に困難なものです。場合によっては欲しい情報が届かない、または誤った情報を掴んでしまうこともありえます。企業の担当者としては、どのような情報収集の手段があるのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
情報収集の重要性
なぜ的確な情報収集ができないと、事業継続の妨げになるのでしょうか。まず、情報収集がうまくいかないと、それだけで災害の被害が長期化するこことにつながります。被害の長期化は、ビジネスチャンスの喪失だけでなく、顧客離れや業績悪化を招く恐れがあるのです。また、復旧活動の遅れは、余分なコストがかかることも意味します。災害発生時の被害状況を正確に把握してベストな対応を考え、復旧に必要な“ヒト・モノ・カネ”を判断する。情報収集には、被災後の事業継続のための重要な役割があるのです。
情報収集の手段
それでは、被災時にはどんな情報収集の手段があるのでしょうか。ここでは迅速かつ、一般的に誰もが活用できる方法を紹介していきます。
テレビ・ラジオ
テレビやラジオのニュースや緊急特番は速報性が高く、誰もが見る・聞くことができるため、重要な情報獲得の手段となります。
テレビやラジオを利用できる状態なら、スマホやPCのバッテリーを節約するためにも、まずはこの2つで情報収集をしましょう。
しかしテレビの場合、災害時にアンテナが倒れてしまえば、視聴が不可能になります。
そこで、ケーブルテレビや光回線のテレビサービスといったアンテナ不要でテレビを見ることができるサービスに加入するのもひとつの防災対策です。台風などの天候の影響を受けにくく、電波の弱い地域でも視聴できることもうれしいポイントですね。
電話
リアルタイムに声でやり取りできる電話は、被災後に社員の安否や、取引先・事業所などの状況確認に役立ちます。しかし、これまでの災害で明らかになっているように、大規模な災害発生時は回線混線を防ぐため、通信規制が実施される恐れがあります。その場合、一時的に利用できなくなることもありますので注意しましょう。
インターネット
災害時にもっとも活躍する情報収集ツールは、なんといってもインターネットでしょう。なにしろ、災害の影響でひとたび停電が起きれば、ラジオはともかく電話とテレビは原則利用ができなくなってしまいます。そんな時に、充電済みのパソコンやスマートフォンがあれば、現在の被害地域の状況や、会社が危険地域にあるのかどうかを確認することができます。ただし、災害の混乱時にはたくさんの人々が情報収集のためにネットにアクセスします。その影響で、サイトが見られなくなったり、基地局の電波が弱くなったりと、ネットが使えない事態もありえます。発災直後は、電話やネットがつながりにくくなる時間を見越して、機器のバッテリーが無くならないよう、やみくもに利用することは控えましょう。また、ふだんから常にモバイルバッテリーはフル充電しておき、災害時にスマートフォンを充電できる装備を万全にしておくことも大切です。スマートフォン本体でバッテリーを節約する対策も、併せて行うといいでしょう。
・液晶画面の明るさを下げる
・アプリのプッシュ通知は、必要最低限なものを残してオフにする
・iOS「停電力モード」/Android「省電力モード」をオンにする
・停電時はWi-Fiをオフにする
・Bluetoothをオフにする
SNS・チャット
自治体や報道機関のアカウントもあるSNSは、現在ではテレビやラジオと肩を並べるほどの影響力を持っています。
災害発生時の状況が、写真付きでリアルタイムに更新されていることも多く、情報収集の手段として、もっとも迅速で効率的なツールのひとつです。チャットが使えれば、電話回線が使えない状況でも、連絡を取り合える可能性があります。SNSで取引先や、県外の事業所の状況を大まかに把握しておくだけでも、初動対応に役立ちますね。東日本大震災では、電話網が不通の中でTwitterがその役割を担ったように、有事にはリアルタイムの情報共有のためにSNSが重要な役割を果たします。災害に備えて、事業者間でSNSツールの導入なども検討の余地があります。ただし、TwitterなどのSNSの場合は、誰でも情報が流せるため、常にフェイクニュースや誤情報の温床となる恐れがあります。その都度正しい情報か否かを見極めて、正確な情報を採用するようにしましょう。
まとめ
情報取得の手段はいくつもありますが、災害時にも使えるよう、事前に環境を整備しておくことが大切です。事前の準備をしっかり行うことで、有事に落ち着いて事業継続に必要な情報収集ができるようになります。この記事を参考に、災害発生時に備えてスムーズな情報収集を実現していきましょう。