地震が起きたらやるべきこと。見落としがちな「初動」とは?
古くから地震と隣合わせの生活が続く日本。気象庁の発表によると、2019年に震度1以上を観測した地震は1,564回、最大震度4以上を観測した地震は40回、最大震度5弱以上を観測した地震は9回、国内で被害を伴った地震は6回だそうです。毎日日本のどこかでは地震が起こっているものの、いざ大きな地震が起こったら、とっさに何をすればいいのか焦ってしまう人も多いのではないでしょうか?いざという時に落ちついて行動できるよう、日頃から地震の際の正しい心構えを身につけておくことで、自分や家族や周囲の方を守ることにつながるでしょう。
「火を消す」ことも優先「身を守る」ことも優先
地震が起きたら、まずやることとして挙げられることの多い「火の始末」。最近ではIHクッキングヒーターや、地震を検知して自動で火が消えるコンロが普及し、より安全な仕様に進化しています。そういった場合、地震が起きた時に焦ってIHを消そうとすると、かえって危険を招く場合がありますので、まずは身を守り、必ず揺れが収まってからIHの確認を行いましょう。災害への備えとして家電なども買い替える際は機能も注視してみることをおススメします。しかし、災害時の優先事項として火の始末だけではなく、実は「飲み水以外の水の確保」も、地震が起きたらやるべきことの1つであることを知っていましたか?
「飲み水さえあれば大丈夫」は本当か?
「水は水道があるから大丈夫」とはいかないのが地震の恐ろしいところで、地震によって水道管が損傷してしまった場合、水が出る内に貯めておかなければ、時間が経過するにつれて断水の危険性が高くなります。「水はどこかで手に入るから」と考える人もいるかもしれませんが、飲み水だけでも1日で1人あたり2~3リットル必要と言われており、料理や洗濯・入浴・トイレにはそれ以上の水が必要になります。
トイレのリスク
水洗トイレは1回に使用する水の量が6~8リットルと多く、断水するとほぼ使えなくなってしまいます。水を流さないままのトイレは雑菌が繁殖して不衛生なだけでなく、食中毒や感染症のリスクを大幅に上げてしまいます。しかし、トイレを使う回数を減らそうとして飲食を控えると、今度は脱水症状を引き起こし、エコノミークラス症候群や脳梗塞・心筋梗塞を発症して、命を落とす危険も潜んでいるのです。使い方1つで命の危険さえあるトイレ。大地震ともなると、病院などの機能も平時のようにはいきませんから、気軽に診てもらうことが大変困難な状態になります。水を使う場面は他にもあります。例えば、地震で割れてしまったガラスを踏んで怪我をした場合を想像してください。何もしなければ、傷口から雑菌が入って感染症を引き起こす危険がありますが、傷口を洗えばその危険はある程度下がります。飲み水以外にも水が必要な理由は、まさに「身体と空間の清潔さを保つため」。「地震」という、平時には起こりにくい危険が数多く潜む状態では、「清潔さ」が命を守ることにつながるのです。
「そもそも水道が使えない」状態にも備えなければならない
しかしながら、そもそも地震が発生した時点で水道が使えない可能性もあります。最近では、「倒壊の心配が少ないマンション住民は在宅避難」という方針を打ち出している自治体も増えており、公共の施設以外で避難をすることになる人の割合も増えています。特にマンションは水道が上下につながっているところが多いので、どこか1つが損傷してしまうと、他の水道も使えなくなる恐れがあります。もし上の階ではまだ水道が使えていたとしても、使ってしまうと下の階で水漏れが発生する場合もあります。そこで活躍するのが「災害用トイレ」と呼ばれる商品。水を使わずに凝固させて処理するタイプのものであれば、水道が使えなくても簡単にトイレを済ませることができます。家族が多ければトイレの回数も多くなりますし、水道の復旧作業にかかる期間を考えると、1週間分以上の備蓄は確保しておく必要があります。トイレットペーパーなどもセットで多めに用意しておくと安心でしょう。
正しい心構えと必要な備えで、「初動」を制す
地震はいつどこで起こるか分かりません。だからこそ、初動の早さや日頃の備えの差で、地震発生後の生活は大きく変わるでしょう。日常でできる備えの1つに「ローリングストック」があります。普段から少し多めに食材や加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておくという方法で、いざという時に鮮度を保った備蓄品が食べられて、日常生活に近い食生活を送ることができるので、ストレス軽減につながると言われています。水道だけでなく、電気やガスも止まる可能性を考えると、常温で長期保存が可能な、お子様やお年寄りでも食べられそうな食品も備蓄に加えておけば、食事への心配も軽減されるかもしれません。正しい心構えと必要な備えを日常的に学ぶことで、地震発生時の「初動」をより最適な行動にすることができるでしょう。家族や周りの人にも共有してみてくださいね。