日本では大手スーパーでのレジ袋無料配布の終了、大手コーヒーチェーンやファーストフード店で、「脱プラスチックストロー」の動きがはじまっています。この背景にあるのが、マイクロプラスチックによる生態系汚染や、海洋生物の保護に対する消費者の意識の高まりです。株式会社みやこでは、大手企業の「プラスチックストロー廃止」「ビニール袋廃止(有料化)」を受けて、2019年8月に10代~60代男女100人を対象にアンケートを実施しました。
■環境問題について、どれくらい意識していますか?
アンケート結果では、「環境問題についてどれくらい意識しているか?」という質問に関して『意識していない』が33%、『意識しているが、行動に移せていない』が40%、『日ごろから意識し、自分でできることから行っている』が27%となり、過半数の人が環境問題を意識しているという結果になっています。
■大手企業が「プラスチックストロー」「ビニール袋」を廃止するなど、環境保全のために脱プラスチックが行われているのを知っていますか?
同アンケートでは、「大手企業が「プラスチックストロー」「ビニール袋」を廃止するなど、環境保全のために脱プラスチックが行われているのを知っていますか?」という質問に、86%の人が「知っている」と回答している通り、テレビや新聞等のニュースで大手企業が環境への取り組みを行なっていることや、その理由が大々的に報道された影響も大きかったと思われます。この環境問題への意識の高まりは世界規模のもので、実はインターネットおよびSNSの利用者の増加と密接に関係があります。
■ウミガメの救出の動画が拡散
特にプラスチックのストローに関しては、自然や動物たちをメインに取り上げるTV局が2015年に製作した「ウミガメの鼻からゴミとして捨てられたプラスチックストローを引き抜く」という番組の動画が、SNS上で拡散されたことがきっかけと言われているのです。しかしながら、ストローは海を汚染しているプラスチック製品のごく一部です。毎年、800万トンものプラスチック製品が海洋ゴミとなっているうち、ストローはたった0.025%と言われています。そのため、環境対策をうたいながらストロー以外のプラスチック製品は使い続けるという行為に、非難の声をあげる人も存在します。飲料販売企業においても、プラスチックストロー廃止の動きは始まっていますが、ストローの原材料は容易に変更できても、カップの変更は進めていません。
■SNSの発信の「映え」
人々の環境問題への意識を高めることに貢献したSNSは、一方で『インスタ映え』と言われるように、見栄えのする商品写真を消費者自身にネットを通じて拡散させる行為が、マーケティングとして大変有用であると企業担当者には認識されています。その際に、中身が見えなくなる容器は致命的といえます。そのため、透明でクリアに中身が見えて、耐久性にも優れたプラスチック容器を、マーケティング戦略上選択している企業も少なくありません。
■紙コップとプラスチックコップ、どちらのほうが環境に優しいイメージですか?
『紙コップとプラスチックコップ、どちらのほうが環境に優しいイメージですか?』の回答において、83%の人が「紙」と回答したように、環境への配慮を考えると、プラスチックカップは望ましくないのではないかと多くの消費者は考えているようです。
■紙コップとプラスチックコップ
紙のコップの方が自然に優しいと考えられるのは、もし自然界にゴミとして投棄された場合でも、主原料である紙の部分はバクテリアや菌類、その他の生物によって分解されるからです。とは言え、原料が木であったり、紙コップとしての耐水性を高めるために使用している内側のポリコーティングは分解されませんので全てが分解されて環境に優しいとは言い切れない部分がありますが、プラスチックの場合は、何十年どころか何世紀にも渡って分解されず、やがて微細なマイクロプラスチックとなり、土壌や海洋に留まり続けます。このマイクロプラスチックを食べ物と一緒に摂取してしまうと、生物の生体機能や、ひいてはその生物を食物とする人間の健康にも悪影響が出ると言われており、これが問題点の一つとなっています。この対策として、近年、とうもろこしやじゃがいも、さとうきびなどの植物に含まれるでんぷんを原材料にした、地球環境に優しい植物性プラスチックの開発が進んでいます。石油を原料とするプラスチックと変わらない透明度の高さで、見た目も美しく、入れたものの自然な色を伝えることができます。
まとめ
世界的な流れの中で環境配慮した容器が求められる時代となってきました。用途に応じて適切な製品を選択していくようにしましょう。
【調査概要】
期間:2019年8月1日~3日
対象:10代~60代男女(Gunosyリサーチ)
人数:100人