12.環境に優しい、植物由来の食品容器

プラスチックカップに関する事

プラスチックごみ問題が及ぼす影響

近年、プラスチックごみによる環境破壊は世界中で大変問題になっており、2019年に開催されたG20大阪サミットでも主要議題のひとつとして取り上げられました。特に、環境中に捨てられたプラスチックごみが川から海へと流れ込み、波や紫外線などの影響で細かく砕けた「マイクロプラスチック」は世界中の海に存在しています。この「海洋プラスチック」の問題は年々深刻さを増しており、このままのペースで増え続けると、2050年には海にいる魚全ての重量よりも海洋中のプラスチックの重量の方が大きくなると言われています。石油由来のプラスチックは、自然界で分解されることなく、半永久的に溜まり続ける可能性があります。そして、このマイクロプラスチックは、近年、魚や海鳥の体内から大量に見つかっており、食物連鎖を通じて人間の体内にも蓄積しているのではないかと考えられています。実際、「1週間に1人平均5gのプラスチックを摂取している」という調査結果も報告されており、人体への深刻な悪影響が懸念されています。それだけでなく、プラスチックは石油由来のため、処分する際も石油を燃やすのと同じことなので、地球温暖化が進むという問題もあります。プラスチックごみ問題は、世界規模で喫緊の問題になっているのです。

プラスチックごみ問題への取り組み

現在、この深刻な問題の解決への動きが、世界中で急激に加速しています。例えば、EUでは食器やストローなどの使い捨てプラスチックを2021年から禁止することが決まっています。また、日本でもレジ袋有料化など、今後様々な規制が導入されていく見込みです。また、国家だけでなく企業も積極的に様々な取り組みを行っています。いち早くこの流れを作ったのは米マクドナルドと米スターバックスで、両社は2018年の夏にプラスチックストローの廃止を打ち出しました。こうした流れから、大手コンビニエンスストアでも環境に配慮した食品容器が採用され始めています。例えば、ローソンでは紙製の容器を使用した弁当を発売し、1個あたり7割のプラスチック使用量を削減したそうです。また、セブンイレブンジャパンでは、「セブンカフェ」用のストローを環境配慮型の素材を使用したものに順次変更しています。全国の店舗の約半分にあたる1万店では、100%植物由来のバイオポリマー「PHBH」を採用したストローを、残る半分の店舗では紙製ストローに切り替え、従来のプラスチック製ストローの配布量削減に取り組んでいます。

環境に優しい植物由来のプラスチック

従来のプラスチック製食品容器は、ほとんどが石油資源由来であり、深刻なプラスチックごみ問題を引き起こしています。そこで、近年では植物由来のプラスチック「バイオマスプラスチック」を使用した食品容器に徐々に代替されるようになってきました。「バイオマスプラスチック」とは、植物などの再生可能な資源を原料として作られるプラスチックの総称で、食品容器や繊維製品など、幅広い用途で使用されています。

環境に優しいプラスチックを使用した食品容器の広がり

現在では、様々な企業が植物由来の食品容器の開発及び使用を行っています。例えば、前述のセブンカフェで採用された、「PHBH」を使用したストローの他、バイオマスプラスチックのカトラリーやお皿、電子レンジでの加熱にも耐えられる弁当容器なども開発され、外食産業や流通業を中心に広がりを見せています。また、キリンビバレッジや日本コカ・コーラ等の飲料メーカーでも、リサイクルペットボトル商品の発売を開始しました。環境に優しい食品容器の開発および使用は、今では企業にとっても大切なミッションです。そして、消費者1人1人にとっても、そのような企業の商品を選ぶことが、私たちの未来を守ることに繋がる、大切な使命であると言えます。

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