令和6年に入ってから、地震速報を目にする機会がさらに増えたと感じていませんか?
日本列島では地震活動が依然として活発化しており、いまだ「南海トラフ」や「首都直下型地震」のような巨大地震が発生するリスクは高いままです。このような状況下で、家庭だけでなく企業においても災害に備える重要性は一層高まっています。特に中小企業にとって、大規模な災害は事業継続そのものを脅かす重大なリスクです。
2011年の東日本大震災では、約650社もの企業が震災を理由に倒産しました。また、2016年の熊本地震では12社が同様の運命を辿りました。これらの経験から学ぶべきは、「備え」の重要性と災害発生時の迅速な対応力です。そこで今回は、巨大地震が発生した際の社内での役割分担と企業が最初に取るべき“初期対応”について改めて解説します。この情報を活用し、災害リスクに備えた事業継続計画(BCP)を強化していきましょう。
有事の役割分担
リーダー
- 災害時に現場を仕切り、指揮を担当。
- 常日頃から災害対策についての情報や知識を蓄える必要あり。
- 「防災管理者」の資格保持者がいると安心。
- 資格は講習を受講することで取得可能。
- 一定以上の規模の建物で必要とされる資格。
避難・誘導担当者
- 地震発生時の避難ルートや安全な待機場所の確保を指揮。
- 非常口の開放や避難障害物の除去を担当。
- 負傷者や逃げ遅れた人の確認も行う。
救護・救出担当者
- 負傷者の救助、応急処置、搬送を担当。
- 建物内を点検し、閉じ込められた人の救出や救護を行う。
- 救急車の手配や公共機関への救護要請も実施。
情報連絡担当者
- 災害発生時の情報収集や緊急連絡を担当。
- ラジオやインターネットで正確な情報をまとめ、従業員に伝達。
- トランシーバーや拡声器などの準備も検討。
社員救援担当者
- 従業員の安否確認、備蓄の配布、ポータブルトイレ設置などを担当。
- 支援物資の取り扱いや従業員の生活支援を行う。
<注意点>
有事においては役割を超えた柔軟な行動が必要となり、リーダーの指示のもと、全従業員が協力することが最も重要です。
正しい初動の取り方
出勤前
出勤時間より前に地震が発生した場合は、事前に用意しておいた「自宅待機の条件」に基づいて従業員が出社の可否を判断します。もしくは、企業かリーダーから全社員へ、メール等で対応を指示します。
勤務時間中
勤務時間中に地震が発生した際は、大きな揺れが収まるまで、リーダーが率先してデスク下などに避難することを呼びかけます。あわてて屋外に出る人を出さないよう注意しましょう。この時、避難・誘導担当者が出口の確保を行います。揺れが収まったら、まずはリーダーが社員救援担当者を中心に、従業員の安否を確認するよう指示を出します。怪我人がいる場合は、救護・救出担当者が救護を行いましょう。そして情報連絡担当者の情報をもとに、リーダーが避難するか、社内に留まるかを判断します。
社内に留まる場合
差し迫る危険がない限りは、社内に留まる方が安全です。その場合は情報連絡担当者が、地震情報や交通機関の状況を、リーダーと共同で従業員に伝達します。首都圏の企業の場合、3日分の水や食料、毛布の備蓄が求められていますので、それを社員救援担当者が従業員に配布します。屋外の安全確認が取れた後は、帰宅可能者、帰宅困難者それぞれに向けた対応を行いましょう。
社外に避難する場合
リーダーがすぐに避難が必要だと判断した場合は、避難・誘導担当者が中心となって、従業員全員に避難指示を出します。避難・誘導担当者は安全ルートを確保したうえで、非常階段へ従業員を誘導し、最寄りの避難場所まで先導しましょう。
火災が発生した場合
社内で火災が発生してしまった時は、“通報” “ 消火” “ 避難”の手順を必ず守ってください。避難・誘導担当者は、煙による一酸化炭素中毒を防ぐため、従業員に対して、姿勢を低くして口と鼻にハンカチをあてるよう指示を出しながら、出口まで誘導します。
以上が、社内で必要となる役割と初動対応です。
これらは、災害が発生した時にいきなりできるものではありませんので、日常的な防災教育と訓練の実施が欠かせません。特に防災備品はひとたび災害が起こると、すぐには手に入らなくなるもの。
この機会に、みやこで取り扱っている防災用品をチェックして、社員分の備蓄を十分なものにしてくださいね。