コロナウイルス(COVIT-19)感染症対策という意味でも飲食店での割り箸の活用が増えてきました。コンビニやテイクアウトのお店で割り箸を受け取る人も多いはず。
日本における割り箸の消費量は近年約250億膳で推移していましたが、2007年以降は減少傾向となり、現在はだいたい約200億膳(国民1人あたり年間約150膳)くらいとなっています。
マイ箸使用者の方を中心に割り箸の使い捨てに抵抗がある場合もありますが、環境問題は多様的です。では、割り箸を使うことは、実際環境問題においてどうなのでしょうか。
割り箸は森林破壊につながるのか?
割り箸の歴史は古く、江戸時代の割り箸は再利用されていました。その後明治維新以降、衛生に関する認識が高まって、割り箸は使い捨てされるようになっていきました。
しかし、割り箸の使い捨てが普通になって捨てられる量が増えていくと、今度は割り箸に関する環境問題が心配されるようになりました。
割り箸を作るために多くの木を伐採したら森が無くなってしまうなんていうことはあるのでしょうか。実際はそうではありません。日本で作られる割り箸は端材や残材、間伐材が原料になっているのです。ですから、割り箸は不要なものの有効利用だったのです。
植林された森林では、密集化を防ぎ、1本1本の木を丈夫に育てるために余分な木を間引かなければなりません。これを間伐と言います。間伐材は、まだ成長途中にあるため、幹が細いものが多く、なかなか建材としては使えません。他に使い道がなく、捨てるだけの木がもったいないため、昔から日本では割り箸を作るために間伐材を利用してきました。
マイ箸も水や洗剤を使って洗えば、環境負荷になります。リサイクルの可能性を考えれば、間伐材割り箸がより良いという意見も多く見受けられます。
使用済みの割り箸リサイクルなど、環境問題に配慮した取り組みについて
環境問題の観点から割箸を利用することに疑問の声がある一方で、日本の中では割り箸をめぐる様々な動きが出てきています。そのひとつは、使い終わった割り箸を捨てないで、紙やパーティクルボードにリサイクルする動きです。全国の自治体やNPO法人などでは割り箸を回収して、製紙原料としてリサイクルしてくれる製紙工場へ送る取り組みが広がっています。
例えば青森市では、市の関係機関や市内のホテル・事業所、家庭から排出される使用済み割り箸を回収し、使用済み割り箸のリサイクルを行っています。平成12年度から28年度までに約60トンの使用済み割り箸が回収され、製紙工場で新聞紙などの紙製品にリサイクルされたそうです。また、讃岐うどんの本場である香川県では、多くの割り箸が消費されることから、割り箸のリサイクルを推進しようと過去に「子ども割りばしサミット」というものが開催されたこともありました。割り箸を原料とした紙すきや絵手紙などの割り箸工作体験コーナーが設けられ、その参加料は使用済み割り箸6本ととてもユニークな企画でした。
使う場面に合わせて、最適な割り箸を選ぶ
以前「コスパ、多用途、おもてなし・・・目的別!割り箸の選び方は?」というコラムでも取り上げたように、私達の日常に欠かせない存在となっている割り箸も、目的や使うシーン、食事のジャンルを考えて、適切な材質や形状の割り箸を選ぶとよいでしょう。
かつてはマイ箸ブームなどもありましたが、コロナ禍の現在は箸だけでなく、コップやお皿も感染症対策として商品の需要が高まってきています。テイクアウト需要も増え衛生面の観点からも私たちの生活に欠かせない割り箸ですが、決して無駄に使うことなく、使う場面に合わせて最適な割り箸を、必要最低限使用するようにしていくことが大切ではないでしょうか。また、割り箸のリサイクル活動にも、積極的に参加していけたらいいですね。